「ハッピーエンド」って、本当にそうなのか。───back number「ハッピーエンド」と、嘘をつくことの優しさについて

楽曲レビュー

 

あなたは、タイトルを見て何か引っかかったことはないだろうか。
「ハッピーエンド」。
その7文字は、どこか軽くて、どこかちぐはぐで、曲を聴き終えたあとにはもう、ひどく場違いな言葉に見えてくる。
私が最初にこの曲を聴いたとき、正直なところ、タイトルが変だと思った。
こんなに静かで、こんなに痛い曲に、なぜこの名前がついているのか。
しばらくその違和感が頭から離れなかった。

back numberの「ハッピーエンド」は、2016年11月にリリースされた16枚目のシングルだ。
映画「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」の主題歌として書き下ろされたこの曲は、失恋をテーマにしたバラードでありながら、ただの失恋ソングとは少し違う場所に立っている。
作詞・作曲を手がけた清水依与吏は、インタビューでこう語っている。
歌詞をすべて書き終えたとき、この女の子がずっと強がって、相手にとってのハッピーエンドになろうとして嘘をついているのだから、タイトルまで嘘をつかせてあげないとかわいそうだ、と。
その言葉を知ったとき、私の中で何かがすとんと落ちた。

この曲の主人公は、別れ際に「さよなら」を言えない。
喉の奥につっかえたまま、代わりに「ありがとう」とだけ言う。
泣かない自分を見て相手がほっとした顔をしても、それさえ「そこも大好きよ」と受け止めてしまう。
最後には「今すぐ抱きしめて、離さないで」と本音が溢れかけて、でもすぐに「なんてね、嘘だよ」と自分で消してしまう。
この「嘘だよ」という言葉について、私はずっと考えていた。
彼女は最初から嘘をつこうとしていたわけじゃない。
ただ、相手のことを想うほど、本音を飲み込むしかなくなっていった。
その結果として「嘘だよ」という言葉が生まれた。
つまり、嘘は意図じゃなくて、結果なのだ。
誰かを傷つけたくないという気持ちが、気づけば自分を偽ることになっていた——そういう経験が、あなたにも一度くらいはあるんじゃないかと思う。

タイトル「ハッピーエンド」も、同じ構造をしている。
彼女は最初から「ハッピーエンドにしよう」と決めていたわけじゃない。
ただ、好きなまま終わらせたくて、相手に気持ちよく去ってほしくて、そうやって気持ちを積み重ねていったら、最後に残ったのがこのタイトルだった。
嘘は、優しさの末に生まれる。
そしてそれは、誰かを責める前に、少しだけ立ち止まらせてくれる言葉でもある。

この曲が「ハッピーエンド」という名前である必要があったのは、そういうことだと思う。
バッドエンドと呼ぶには、あまりに誠実すぎる。
ハッピーエンドと呼ぶには、あまりに痛すぎる。
その中間のどこかに、この曲は静かに置かれている。
あなたは、この曲をどちらだと思うだろうか。

タイトルとURLをコピーしました