音楽経験ほぼゼロの素人が曲を作ってみた
一本の動画から始まったアーティストが、わずか数年で韓国のK-POPアワードを受賞し、日本武道館のステージに立つ。imase(イマセ)の軌跡を追うと、単なる「TikTokでバズった人」では片づけられない、確かな実力と時代の流れが見えてくる。今回はそんなimaseの人気の理由を深掘りしていきたい。
ゼロから始まった挑戦
imaseがTikTokに初めてオリジナル曲を投稿したのは2021年5月。DTM歴わずか4ヶ月という、いわば「素人」からのスタートだった。それから半年後にはバイラルヒット曲「Have a nice day」でメジャーデビューを果たしている。この展開の速さこそ、imaseというアーティストを語るうえで外せないポイントだ。
音楽経験がなかったからこそ生まれた、既存のJ-POPの型にとらわれない自由な作曲センス。SNS発のアーティストというと「勢いだけ」というイメージを持たれがちだが、imaseの場合はむしろ逆で、経験の少なさがオリジナリティに変換されたケースだと感じる。
「NIGHT DANCER」が国境を越えた理由
2022年8月にリリースされた「NIGHT DANCER」は、imaseの名前を世界に広げた楽曲だ。韓国の音楽配信サイト「Melon」でJ-POP楽曲として初のTOP20入りを果たし、SNS上ではLE SSERAFIMやTOMORROW X TOGETHERといったK-POPアーティストたちがこの曲でダンス動画を投稿するという現象も起きた。
なぜここまで韓国で受け入れられたのか。理由の一つとして挙げられるのが、ダンスチャレンジとの相性の良さだ。振り付けがシンプルで真似しやすく、それでいて印象に残る。楽曲そのものの中毒性と、SNS時代の拡散構造がうまく噛み合った結果と言えるだろう。この楽曲は結果として、韓国最大級のK-POPアワードMMAで「J-POP Favorite Artist」を、CCMAでは日本人アーティストとして初めてJ-POP部門を受賞するという快挙にもつながっている。
勢いだけでは終わらなかった、その後の歩み
一発屋で終わらなかったところにも注目したい。2023年には「THE FIRST TAKE」への出演で歌唱力そのものが評価され、韓国の音楽番組「M COUNTDOWN」に日本人ソロアーティストとして出演するという、TikTok発のアーティストとしては異例の実績を重ねていく。
そして2024年5月には初のフルアルバム『凡才』をリリース。同年にはアジアツアーと東名阪でのホールツアーを完遂し、2025年には全国ホールツアー、さらに初の日本武道館公演も実現させている。バイラルヒットから始まったキャリアが、着実にライブアーティストとしての足場も固めてきたことがうかがえる。
imaseというアーティストの魅力
imaseの楽曲に共通しているのは、力の抜けた歌声と、どこか懐かしさを感じさせるメロディーラインだ。ジャンルで言えばシティポップやR&Bの要素を取り入れながらも、過度に凝りすぎない親しみやすさがある。この「聴きやすさと個性のバランス」こそ、国内外問わず幅広いリスナーに届いた最大の理由なのではないだろうか。
TikTokという場所から生まれたアーティストが、一過性のブームで終わらず、K-POPシーンとの接点を持ちながら独自の地位を築いていく。imaseのこれまでの歩みは、SNS発アーティストの一つの理想形を体現していると言えるだろう。
次に読みたい方は、SNS発から人気が広がった邦楽アーティストを集めた「似た曲・似たアーティスト」特集もあわせてチェックしてほしい。

